オンライン診療の実現に向け、信州大学との実証実験開始

 キッセイコムテック株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役社長:神澤 鋭二、以下キッセイコムテック)は、国立大学法人信州大学(長野県松本市、学長:濱田 州博)とともに、長野県内における難病患者に向けた「オンライン診療に関する実証実験(代表研究者:中村 昭則、担当研究者:日根野 晃代)」をスタートします。

 近年、長期療養が必要な慢性的な疾患を持った療養者であっても、保健医療技術の進歩、社会的サービスの向上などにより、医療・介護などの複数の機関からサポートを受けながら在宅で生活できるケースが増えています。しかしながら、医療従事者間の連携や、療養者と主治医・多職種チーム内でのコミュニケーションが十分にとれていないことが課題となっています。

 キッセイコムテックと信州大学、モバイル電子チームケア研究会では、地域包括ケアシステムの実現をサポートする、多職種連携システム「トリニティケアクラウド」を開発し、2017年よりサービスを開始しました。
今回の実証実験では、トリニティケアクラウドに、ビデオ通話機能を連動させることで、患者の診察、服薬指導をリアルタイムで行うことのできる「オンライン診療」の実現を目指しています。
これにより遠隔地在住や移動困難な患者でも適切な医療・サービスを受け、安心して自宅での療養を続けることができるようになります。また、医療・介護従事者にとっても、患者に関する情報の蓄積はもちろん、ビデオ通話機能を利用した多職種連携Web会議を通して、地域と基幹病院の連携、専門機関への相談など、業務効率化、負担軽減、働きやすい環境づくりの推進に効果があります。

 キッセイコムテックは、「ご自宅を安全・安心・快適な病室へ」を目指し、今後も実証実験で培ったノウハウを活かした研究を進めてまいります。なお、オンライン診療機能については、実証実験の成果を踏まえ、2019年度中のリリースを目指します。

■ モバイル電子チームケア研究会とは

 主治医や看護師・療法士、ケアマネ等、多職種メンバーを含むチームにより、「患者を中心とした医療・福祉情報の総合的な電子共有」を行うこと主目的とし、各種モバイル端末を用いた遠隔コミュニケーション・遠隔モニタリングなどの手法を研究する。研究会は2011年発足、現在に至る。(武井洋一会長、NHOまつもと医療センター )

■トリニティケアクラウドとは

製品URL: https://www.kicnet.co.jp/solutions/medical/trinitycare/

  1. 多職種連携機能

     在宅療養においては、医師、看護師、療法士、薬剤師、介護士、ケアマネージャーなど多くの職種が関わります。多職種で発生する様々な記録を一元管理し共有することで、チームメンバーが必要な時に必要な情報を効率よく活用できます。これにより、複数機関での検査や処方の重複チェックができる・職種間の心理的なハードルが下がる等、様々な利点があります。

  2. コミュニケーション機能

     トリニティケアクラウドのコミュニケーション機能は、非公開型SNSのように、関係者間での相談・報告はもちろん、通院せずとも患者さんからの相談を受け取ることができます。また、多職種チームメンバーが入力した患者さんの日々の情報は、従来の電子カルテに記載された内容を補完する効果があり、より質の高い医療・サービスを提供するために役立ちます。

  3. 遠隔見守り機能(実証実験中)

     様々なセンサーと連携することで、介護支援者の外出時や遠く離れたご家族に対し、まるで在宅で見守るように、情報を把握できます。バイタルサインをモニタリングすることで、遠隔地にいながら状態を把握することができます。

■わたしたちが目指すオンライン診療

  1. 遠隔地在住や移動困難な患者さんにも適切な医療・サービスを

     遠隔地在住や移動困難な患者さんが、自宅療養を実現するためには、家族の協力や医療機関の連携が必須です。多職種連携システム「トリニティケアクラウド」は、オンライン診療を通して、自宅でも安心して質の高い医療が受けられる仕組みづくりを目指します。

  2. より質の高い多職種間連携を

     多職種連携システム「トリニティケアクラウド」でオンライン診療を行う利点は、電子カルテの情報だけでは把握できない患者さんの日々の情報を把握できる点、オンライン診療時に把握しておくべき多職種メンバーからの申し送りを確認しやすい点・オンライン診療を終えた医師から多職種スタッフへのフィードバックが容易である点です。患者・医師のみならず、在宅ケアに関わる全てのスタッフがオンライン診療の仕組みを応用することで、業務効率化・負担軽減・働きやすい環境づくりの実現を目指します。