企業がDX推進を成功させるには。課題や推進の5ステップ、ポイントを押さえて紹介!
デジタル技術の革新が進み、DX推進に取り組んでいる企業も増えてきました。経済産業省などもDX推進を推奨しており、今後、日本企業のDX推進は欠かせないものとなるでしょう。
しかし、「DXを推進したいけれどどう進めたらよいかわからない」「既存システムを維持することによるリスクを知りたい」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、DX推進のメリットや課題点、実際の進め方やポイントについてご紹介します。
今、DX推進が必要とされている
DXの推進については経済産業省や総務省などがたびたび言及しており、企業への早急な対応を求めています。まずはDXの意味や、DX化が必要とされている背景をおさえましょう。
そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?
DXとは、「デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略語で、デジタルやIT技術を活用してビジネスに変革を起こし、新たな価値を創造すること。
経済産業省がDXの推進に向けて企業が実践すべき事項をまとめた「デジタルガバナンス・コード2.0」では、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
出典:『デジタルガバナンス・コード2.0』(経済産業省)
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DX推進の必要性が高まっている背景
近年は、「スマートフォンの普及による消費活動の変化」「コロナ禍によるリモートワーク増加」「働き方改革」など、IT化やデジタル技術の発展、働き方の多様化により、私たちの生活やビジネスにも大きな変化がありました。これにより、多くの企業が新しい製品やサービスを創出するために、日々進歩し続けるデジタル技術の活用が強く求められるようになったのです。
しかし、日本のDX化は、先進諸国の中でも大幅に遅れています。DX推進が実現しない場合、後述する「2025年の崖」に直面するほか、企業としてもコストや競争力の面で大きな損失につながるでしょう。こうした課題解決に向け、DX推進がより重要視されています。
DXを推進しない場合のリスク
DX推進は、持続的な企業価値の向上のために欠かせません。DXを推進しない場合、「労働人口減少による人手不足」や「多様化した顧客ニーズへの対応力不足」「デジタル競争での敗退」など、さまざまなリスクも考えられるでしょう。ここでは、「レガシーシステムの残存リスク」と「2025年の崖」問題について解説します。
レガシーシステムの残存リスク
レガシーシステムとは、老朽化した技術基盤によって構築されたシステムのことです。レガシーシステムの残存には「技術面の老朽化」「システムの複雑化」「ブラックボックス化」などの問題があるため、経営戦略の妨げや「市場変化への対応遅延」「メンテナンスや運用コストの高騰化」につながることが懸念されます。
2025年の崖(既存ITシステムの崖)
「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」の中で使用された言葉です。DXレポートでは、企業がDX推進に取り組まない場合の、大きな損失が生まれる可能性に言及しています。
具体的には、2025年までに予想される「IT人材の定年退職による引退」や「システムのサポート終了」などによるリスクが高まることで、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘しております。また、レガシーシステムの刷新が出来なかった場合は、蓄積したデータを活用しきれずDXを実現できないため、デジタル競争の敗者になることも指摘しており、2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要があるとしています。
(経済産業省『DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜(本文)』を加工して作成)
DX推進のメリット
企業がDXを推進することで、主に以下のような効果が期待できます。
- 新たなビジネスモデルの創出による顧客体験(CX)や顧客満足度(CS)の向上
- 競争力の強化、市場シェア拡大
- 雇用機会の創出や働き方の多様化
デジタル技術の活用や蓄積されたデータの分析・活用が進めば、これまでには無かったサービスを創出し、顧客に提供できる可能性が高まります。顧客のニーズや利便性などに即した新たなサービスを展開することでCXやCSが向上し、「選ばれる」サービスになるでしょう。その結果、市場競争力が高まりシェア拡大も狙えます。
また、企業目線では他にはないユニークさや魅力ある企業として、採用市場で自社の魅力をアピールでき、採用力の強化につながります。働き方の面でも、デジタル技術を活用することで多様な働き方を推進できるため、ダイバーシティの推進や多様な人材が活躍できる風土の醸成につながるでしょう。
DXを推進する上での課題
DXの推進には期待される効果がある一方で、推進を阻む課題も抱えています。具体的な内容をみていきましょう。
DX人材の不足
DX推進には、デジタル技術やデータ分析のスキルを持つ「DX人材」が必要ですが、多くの企業で不足しているのが現状です。DX人材を確保する方法には「ベンダー企業などへのアウトソーシング」「外部採用」「社内でのDX人材育成」が考えられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の目的に合わせた方法を選びましょう。
メリット | デメリット | |
アウトソーシング | 社内の人員を割かずにDX推進ができる | 丸投げになる、既存システムで手一杯になる場合がある |
外部採用 | 即戦力になる | 需要が高まり流動的になる |
社内でのDX人材育成 | 社員のスキルアップ・持続的な企業成長につながる | 育成に時間がかかる |
ビジョンやDX戦略が不明確
DX推進の必要性は理解していてもビジョンが不明瞭であると、経営層と現場でのコミットメント不足となり、DX化が進まないケースも多く見られます。DXは一部署だけでなく企業全体に影響します。また明確な目的がなければ単純なデジタル化で終わってしまうこともあるでしょう。目標やビジョンを明確に提示・共有することで、DX推進に向けて全社的に取り組むことができます。
既存システムの老朽化
レガシーシステムが残存していることも、DX推進における課題の一つです。古いシステムを維持すると保守や運用に費用がかかり、「新しいシステムと連携できない」「新たなシステムの導入が進まない」「データの活用ができない」「セキュリティが脆弱化する」などさまざまな問題につながります。老朽システムを払拭し、一貫性のあるシステムの再構築ができるよう取り組む必要があるでしょう。
DX推進の5ステップ
メリットや課題を把握したところで、実際にDX推進する方法を5つのステップで解説していきます。
1.目的を明確にする
DXを進める目的は、企業によってさまざまです。自社のどこに課題があるのかを知るために、まずは現状の調査を行い、課題を見つけましょう。課題が把握できたところで、「DX化によって何を実現したいか」といった明確な目的を立てることが重要です。
目的が不明瞭だと「方向性が定まらない」「社内の共通認識が作れない」など、DX推進が難航する可能性があるため、非常に重要なステップと考えましょう。
2.DX戦略(推進計画)を策定する
次に、課題解決に向けたDX戦略の策定を行います。「どこの部署が何をするか」「期限はいつまでか」「どのくらいの予算が必要か」といったように、内容は細かく落とし込むのがポイント。計画の立案・策定の際は、経営層だけでなく現場と連携したり、部署を跨いだ施策を立てたりすることが重要です。
3.DX推進の優先順位を決める
DX戦略を立てたら、施策ごとに「必要な人員数」「費用」「日数」などを算出し、優先順位を決めていきます。その際は、業務への影響度や難易度も考慮するとよいでしょう。
例えば、最初に基幹システムから手をつけてしまうと、情報の管理方法が大幅に変わり、社内で混乱が起きてしまう可能性もあります。まずは、ビジネスチャットの活用やリモート会議の導入など、手軽に取り組めるものから始めることがおすすめです。優先度を決めることで、効果的なDX推進を実現できるでしょう。
4.DXを実行する
DX推進に向けた準備が整ったら、実際に施策を運用していきます。混乱を避けるためにも、いきなり全社で行うのではなく一つの部署内から進めるのもよいでしょう。また、他部署の理解や協力を得るために、デジタイゼーションやデジタライゼーションを推進し、業務効率化や生産性向上につなげることも必要です。
※デジタイゼーションとは
業務効率化を目的に業務フローを局所的にデジタル化すること。
例:紙ベースの業務を電子化
※デジタライゼーションとは
個別の業務や製造プロセスのデジタル化。ビジネスモデルなどプロセス全体をデジタル化に変革すること。
例:デジタルサービス導入による経費精算のデジタル化
(総務省『 デジタル・トランスフォーメーションの定義』を加工して使用)
5.PDCAサイクルを回しDXを推進する
DX推進を実行していく中で、「現場へ浸透していかない」「システム改修が予定通り進まない」など、課題が発生することもあるでしょう。把握した課題に対し、適切な対処をしていくためには、定期的なPDACサイクルの運用が必要です。
DX化の際は、単にツールやシステムの導入だけでなく、社内全体への影響を考えながら進めていく必要があります。継続的にPDCAサイクルを回し、長期的な視線でDXを推進することで、企業価値の向上や他社との差別化につながるでしょう。
※PDCAサイクルとは
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つの頭文字をとったフレームワークです。4つの項目を循環させることにより、持続的な業務改善や品質改善につなげます。
DXを推進するときのポイント
DXを推進するには、どのような点を意識するとよいのでしょうか。ここでは、DXの進め方のポイントについて解説します。
データの利活用
環境の変化に素早く対応できるよう、データに基づいた経営判断を行える「データ利活用」は、DX推進において目指すゴールの一つです。しかし、データ利活用が適切に行えている企業は少ないのが現状で、「データ収集を行っていない」「データを収集するだけで活用できていない」などの課題を抱えている企業も多いでしょう。まずは「自社がどの程度データ利活用をできているか」を把握することが重要です。
社内文化の醸成
DXは小さな枠組みの中での変革ではなく、組織全体で行うことが重要とされています。経営層はもちろん、社員一人ひとりがDXへの理解を深め、一丸となってDX推進に取り組む姿勢が大切です。そのために、社内全体へ積極的に情報を共有し、社内文化を醸成していくことが必要でしょう。
外部との連携
DXを推進する際に、DX人材が不足している場合、自力でDX化を進めることは難しいかもしれません。こうした場合は、デジタル技術やデータ分析の専門家、他の企業など、外部との連携を図ることで、自社におけるDX推進を加速する事ができます。
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「AxisBase」を活用してDXを推進している企業様の事例
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DX推進のポイントを理解して、自社に取り入れよう
DX推進の際には、目的を明確にし、その目的にあった企業戦略を立て、PDCAサイクルを回しながら長期的な視点で進めていくことが重要です。推進のポイントとして、「データを利活用する」「社内におけるDXへの理解度を深める」ことが挙げられます。DX化が行われないとさまざまなリスクがあるため、外部と連携したりシステムを上手に活用したりしながら、DX化を進めていきましょう。