IoTの意味や仕組みとは?工場や企業の活用事例をわかりやすく解説

IoTの意味や仕組みとは?工場や企業の活用事例をわかりやすく解説

DX推進やスマートファクトリーの実現において重要となる「IoT」。導入コストの低減化も追い風となって、さまざまな業界で活用が進んでいます。「業務にIoTが役立ちそう」と感じながらも「IoTでどのようなことができるのか?」などと、具体策につながらず導入に至っていない企業もあるでしょう。

今回は、IoTとはどのようなものかについて、関連技術や身近な例の解説も交えながらわかりやすくご紹介します。さまざまな企業の事例からIoT活用のアイデアもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

IoTとは?

IoTの意味や仕組みについてご紹介します。

IoTの意味。ITやICTとの違い

IoTの読み方は「アイオーティー」で、「Internet of Things」を略した言葉です。総務省はIoTの概念について以下のように説明しています。

IoTのコンセプトは、自動車、家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出すというものである。
(出典:総務省『平成27年版 情報通信白書』)

IoTとは「さまざまなモノがインターネットによってつながること」で、これにより遠隔でデータ取得や管理、機器同士の連携が可能になります。このような変化は「IoT化」とも呼ばれます。

「IT」や「ICT」と混同しやすいですが、ITは「Information Technology」の略称で「情報技術」という意味です。ICTは「Information and Communication Technology」の略称で、ITと同じような意味で使われており、「情報通信技術」を指します。IoTは、ITやICTが示す「情報通信に関するテクノロジー」の一部を指す言葉と言えるでしょう。

(総務省『用語解説』を加工して使用)

IoT技術の仕組み

IoTを搭載した機器には、動きや量などの情報(データ)を検知するセンサーがついています。センサーを通じてIoT機器から得たデータは、無線通信(無線LAN)などを介してインターネット上に蓄積されていきます。インターネットに接続したパソコンやスマートフォンなどの通信機器を使えば、収集データをどこからでも確認できます。

また、オンライン上でIoT機器同士が情報をやりとりし、連携して作動するような仕組みも構築できます。遠隔からIoT機器を操作するときは、スマートフォンなどのアプリケーションを使って、インターネット経由で命令を送信します。

身近な活用事例「IoT家電」

IoT活用の身近な例として、家電の利便性をさらに高めた「スマート家電」が挙げられます。例えば、気象情報に基づき自動運転するエアコンがその一つです。ほかにも、洗剤の使用状況をIoTセンサーで感知し、残り少なくなると洗剤を自動的に発注してくれる洗濯機などもあります。

IoT活用の面白い例では、冷蔵庫のドアを開けるとセンサーが反応し、庫内を自動撮影する機能が挙げられます。外出先からスマートフォンで冷蔵庫にあるものを確認できるため、献立を考えながら買い物をするサポートや、同じものを買ってしまうといった失敗の予防に役立ちます。

なかにはIoT技術の活用が限定的な家電製品もありますが、将来的には家電同士が連携して自動化が進み、利用者の生活スタイルにあわせて家電が働く便利な時代がやってくるかもしれません。

IoT活用事例については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

【関連記事】IoTの活用例を解説!産業別の導入例や生活を変えた身近な例

IoTとAIの組み合わせで広がる可能性

IoTは「AI」と組み合わせることで、より多くのことができるようになります。AIとは「Artificial Intelligence」の頭文字から成る言葉で、人間の脳と同じように「経験して学ぶ」「推測する」などの働きをするプログラムといった広い意味で捉えられています。

AIをIoTと組み合わせて活用することで、人に代わりAIが司令塔となって機器や設備を動かすことも可能です。また、IoT製品から収集した膨大なデータをAIが分析することで、設備トラブルを予測して回避する「予知保全」などに活かせます。

(総務省『人工知能(AI:エーアイ)のしくみ』を加工して使用)

企業におけるIoT活用の具体例

IoT活用によってどのようなことができるか、各分野で参考にできる具体例をご紹介します。

IoT活用によるモニタリング

<活用例>

  • 工場設備の稼働状況を把握
  • 製品のメンテナンス時期を把握
  • 農作物の生育管理

IoTを活用することで、離れた場所からも設備や環境の状態をリアルタイムで確認可能です。動きや温度・湿度を感知する無線センサーによって「工場設備は正常に稼働しているか?」「農作物のビニールハウスの温度は適切か?」などといった情報が、現地に出向かなくても得られるため、管理を効率化できます。IoTによるモニタリングは、「スマート工場」や「スマート農業」の実現に貢献しているほか、IoTによる遠隔監視を、オフィスや店舗の防犯に役立てている例もあります。

自社製品にIoTを搭載することで、交換時期やメンテナンスのアナウンスにつなげている例も。遠隔で製品の状態を正確に把握できるため、目視点検も必要なタイミングで現地へ出向くことができるでしょう。このようなIoT技術の活用は、橋や建物のほか、看板などの設置物でも見られます。

【関連記事】遠隔監視とは?活用方法や導入ポイント、企業への導入事例を解説

IoTを使った遠隔制御・機器の連携

<活用例>

  • 遠隔での機械制御
  • 過酷な環境での作業
  • デジタル機器のトラブル対応

IoTを使って、離れたところからモノを操作することも可能です。身近な例では、遠隔地からドアの鍵を開けたり締めたりできる「スマートロック」がその一つです。オフィスのセキュリティ対策や、レンタルスペースの管理などにも活用されています。遠隔操作に対応した重機が実用化され始めている建設業の分野では、従来は高所で操縦しなければならなかった大型タワークレーンをIoT化。現場をモニターで確認しながら、安全な場所で作業が行えます。

また、インターネットを通じて海外工場の稼働状況を把握することも可能です。生産拠点が複数ある場合もシステム上で一元管理し、本部でコントロールすれば、管理の効率化や迅速なエラー対応にもつながるでしょう。
さらに、人が遠隔操作するだけでなく、モノ同士が通信して、自律的に動作させることも可能です。例えば、気温が適正値を超えると、自動的に空調設備が働いて適切な温度まで下げるなど、省人化の促進にも貢献します。

IoTデータの活用

<活用例>

  • 生産工程の効率化
  • 新製品の企画開発
  • 顧客のもつ潜在ニーズの把握

IoT機器から得られた情報は、リアルタイムで確認できるだけでなく、インターネット上に蓄積されます。事業戦略におけるさまざまなヒントが詰まっている蓄積データを分析し、製品や業務の改善に役立てることができるでしょう。例えば、製造業なら生産工程の効率化、物流業なら配送ルートの最適化などに活用できます。

また、従来は商品を売るだけで終わっていたビジネスも、商品にIoTを取り付けるなどの方法で、商品を売った後も新たなサービスにつなげることが可能となります。例えば、浄水器をIoT化することで、顧客の行動を分析し、使う人に合わせたサービスの提案につなげられるでしょう。

IoTのメリット・デメリット

IoTのメリット・デメリットとして、企業がIoT導入に取り組む際のポイントをまとめました。

IoTのメリット

<IoT活用による効果>

  • 省人化
  • 生産性の向上
  • 短納期
  • 製品・サービスの差別化
  • 社員教育の効率化

遠隔でモニタリングや操作ができれば、人が移動する手間をなくしたり、それまでは複数人で対応していた業務を、ひとりに集約させることが可能です。これにより、在庫管理や工程管理などを効率化し、人手不足の解消やコスト削減が実現できます。

収集したデータを分析に活用すれば、生産計画や生産管理の最適化につながり、短納期の実現による競争力の強化も期待できます。メーカーにとっては、ビッグデータに基づいた製品開発も可能になり、企業競争における新たな武器となるでしょう。IoTデータを活用した故障の予知や顧客にあわせたサービスの改善や提案は、顧客満足度を向上させ、他社との差別化にもつながります。

また、IoTで得られたデータを、社員教育に活かすことも可能です。例えば、熟練技術者が感覚的に行っている作業を、IoTを使い技術情報として可視化し、新人研修に活用することもできるでしょう。

IoTのデメリット

<IoT活用において注意したいポイント>

  • セキュリティーリスク
  • 通信障害や機器のトラブル
  • 電力への依存

IoTのデメリットとして、インターネットを介して情報漏えいIoT機器が不正利用されるといったリスクが挙げられます。事前にセキュリティ対策をしておくほか、従業員が適切に扱えるよう研修などを行い、設備やデバイスなどを使用する際のルールを周知しておくことが大切です。

インターネット回線やIoT機器に、トラブルが起きるリスクがあることもデメリットです。これらのトラブルによって生産ラインの停止や、誤発注を引き起こしかねません。IoTの導入ポイントとして、通信機器や設備の適切なメンテナンスや、停電などのトラブル時の対応について事前に検討しておくことが重要です。

IoT活用に必要なものは?

IoT技術を活用するには、どのようなものが必要でしょうか。ケースによってさまざまですが、ここでは情報活用のための「IoTソリューション」の構築に必要とされる基本的なものをご紹介します。

  • データ検知:IoT機器(IoTデバイス)
  • データ処理:IoTゲートウェイ
  • 通信:ネットワーク
  • データ管理:サーバー(オンプレ/クラウド)
  • データ活用:アプリケーション

まず、センサーと通信機能を搭載した「IoT機器」が必要です。製品によって、環境データや圧力、速度、匂いなど検知する情報は幅広く、センサーの性能や価格も異なります。個別の製品情報の読み取りには、RFIDタグとも呼ばれるIoT無線タグや、QRコードなどが必要でしょう。

ほかに、通信のためのインターネットなどの「ネットワーク」や、収集した情報を処理する「IoTゲートウェイ」、データ管理や分析を行う場所として「サーバー(オンプレ/クラウド)」も必要です。「アプリケーション」は、データ確認や遠隔操作など、収集したデータを活用する役割を担います。

このようなIoT活用に必要なものを一括したIoT関連サービスにも、さまざまなものが登場しています。「AWS(アマゾンウェブサービス)」のIoTプラットフォームに代表される、情報を活用するための土台となるサービスもその一つです。「機器やシステムの連携に手間がかかる」「現場で使いにくい」などの理由で、IoT導入に失敗するケースもあるため、目的に応じて適切なIoTサービスを選ぶことが重要です。

製品IoT機能も装備!セミオーダー型のシステム「AxisBase」

お客様の要望に応じた管理システムを構築できる「AxisBase」なら、最適な形でIoT導入を実現できます。ここでは、キッセイコムテックが提供する「AxisBase」をご紹介します。

「AxisBase」の特徴

AxisBase」は、お客様それぞれの課題や目的に応じたシステムをご提案できる「セミオーダー型のシステム構築テンプレート」です。テンプレート機能も活用しながら、重要なポイントにコスト・労力を集中させているため、低コスト・短納期ながら高品質を実現しています。今後の事業展開を見据えたデータ活用の基盤づくりも、弊社にお任せください。

AxisBase」の導入事例をご紹介します。

エレコム株式会社様|「アドミリンク」開発によるバリューアップやコスト削減

パソコン周辺機器の開発を手掛けるエレコム株式会社様は、同社製のネットワーク機器を一元管理できるリモート管理サービス「アドミリンク」の提供を2022年5月より開始。

これは、従来から提供していた管理サービスを抜本的にリニューアルしたもので、同サービスの開発にあたり、キッセイコムテックでは、クラウド側のシステム開発や基盤選定、各種技術サポートなど幅広く支援を手掛けています。

セミオーダー型のシステム構築によりお客様のDX推進の基盤となる新システムを実現

AxisBase」導入事例のより詳細な情報をご覧になるには、こちらからお問い合わせください。

IoTを活用して業務改善や事業拡大につなげよう

ビジネスモデルや社会に、大きな変化を起こす可能性を秘めているIoT。今回ご紹介した農業や製造業、建設業・物流業だけでなく、医療やヘルスケアの分野などさまざまな産業で活用が進んでいます。IoT活用では、導入サービスの的確な選定も成功のポイント。通信データ量やIoT機器の環境も考えながら、有線・無線技術といった通信方式の選択やIoTネットワークの構築が必要です。実際のIoT活用例も参考にしながら、自社における導入イメージを具体化し、IoT活用による業務改善や事業拡大を実現しましょう。

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