医学部 医学情報教育推進室 室長 教授 鈴木 茂孝 様
医学部 医学情報教育推進室 准教授 若月 徹 様
医学部 医学情報教育推進室 講師 堀場 文彰 様
医学部 医学情報教育推進室 副室長 杉本 龍哉 様
導入までの経緯
医学部情報教育推進室の役割の一つとして、ICTを活用して授業運営効率を改善すると共に学生の習熟度向上に資する環境を整備していくことがあります。
医学部では各教員が多様な授業用教材を使用していますが、授業の都度、大量の紙資料を印刷して学生に配布する運用には幾つかの課題がありました。授業前に1学年約120名の紙資料を印刷しますが、この資料印刷に相応の時間がかかるだけでなく資料差替えが発生することもあり、学務課や教員は授業資料準備に多くの労力を割いていました。 また印刷コスト低減の為、画像資料をモノクロ印刷したり縮小印刷することもありますが、資料の視認性確保の問題もありました。学生は過去の授業で使用した資料全てを常時携帯することは難しく、実技動画は授業の中でしか参照できないなど、資料閲覧の利便性にも課題がありました。
このような実態を踏まえつつ、昨今のICT技術の進化や他校における動向等を調査している中で、授業におけるタブレットの活用をテーマとし、学生と教員、それぞれの立場における紙運用による授業運営や学修効率の課題を改善するため、授業資料の配信・閲覧システムの導入について検討を開始しました。
製品導入のポイント
タブレットを活用した資料の配信・閲覧システムについて調査し、5-6社の製品を検討しましたが、課題解決に直結するような製品が見つけられずにいました。 そのような中、かねてより大学内のシステムの相談をしていたベンダーより、キッセイコムテックのペーパーレス会議システム「SmartDiscussion」の紹介を受けました。 「PDFファイルの高速な横断全文検索機能」など他社製品にはない独自機能を多数備えており、製品機能に魅力に感じましたが、他社同様に大学における授業活用を前提としたシステムでは無かったため、大学で教員が授業を運営するための機能や学生が授業で使用する機能は不足していました。 一度は採用を見送ったものの、キッセイコムテックより「不足する機能は全てカスタマイズで実現できます。新たに大学専用のシステムを作りましょう」との再提案がありました。 本学が必要だと考える要件を充足する提案であり、何回かの仕様調整を行う中で、「キッセイコムテックに任せれば理想に近いシステムが実現可能」との結論に至りました。
導入後の効果
試行期間も含めてシステム運用を開始してから1年半になりますが(2016年後期より仮運用開始、2017年4月から本運用開始)、大幅な資料印刷コスト削減を行うことができました。
授業資料の登録(サーバーシステムへのアップロード)は、シンプルな操作で実現できるので多くの教員が利用しています。 これまで授業前に集中していた大量の資料印刷もなくなり、教員は余裕をもって授業に臨め、学務課も本来の業務に集中することができるようになりました。 現2年生は後期授業からシステムを利用し始めたので「紙の資料も欲しい」という声もありましたが、1年生については授業におけるタブレットの活用を前提とした事前の周知期間があった為、スムーズに利用を開始することができました。また、他大学との情報交換の場を通じて本学のシステムについて問い合わせを受けることも増えてきました。
今後の展開について
これまでは医学部の授業で活用しながら、システムの機能改善、授業での効果的な活用・運用方法の構築に努めてきましたが、今後は課題の提出や評価などの用途でMoodle等のLMSと連携した活用も考えています。
また順次3・4年と適用学年を拡大します。さらに授業だけにとどまらず、ペーパーレス会議システムの機能を活用し、各種委員会で利用し大学全体でペーパーレス化を推進していきたいと思います。
現在システム対応デバイスはiPadのみですが、大学全体で使用することを考えるとWindowsにも対応してくれることを希望します。 学生からはメモの書き込み量の上限拡大やペンの色の追加、スタンプ機能(重要・ポイントなど)、複数資料の同時表示機能(※補足)など、システムを使い込んでいるからこその要望も出てきました。 学生と共に成長し続けるシステムとして、キッセイコムテックには今後の更なる機能拡張を期待しています。
※補足(キッセイコムテック)
大学の授業活用におけるユーザ要望を踏まえて、Notre AcademiaではPDFファイルの並列表示機能(2画面分割表示)を標準機能として実装しました。
2018年3月